事務所ニュースvol.270 03.05年次有給休暇
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2021年5月1日
事務所ニュース Vol.270
◎年次有給休暇は法律で定められた労働者に与えられた権利です。
<年次有給休暇の時季指定義務>
●労働基準法では、労働者の心身のリフレッシュを図ることを目的として、一定の要件を満たす労
働者に対し、毎年一定日数の年次有給休暇を与えることを規定しています。(※)
(※) 年次有給休暇(労働基準法第39条)
雇入れの日から起算して6か月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者(管理監督者を
含む)には、年10日の有給休暇が付与されます。
・継続勤務6年6か月で年20日が限度となります。
継続勤務年数 | 0.5 | 1.5 | 2.5 | 3.5 | 4.5 | 5.5 | 6.5以上 |
付与日数 | 10 | 11 | 12 | 14 | 16 | 18 | 20 |
・パートタイム労働者など所定労働日数が少ない労働者については、所定労働日数に応じた日数
の有給休暇が比例付与されます。
●年次有給休暇は、原則として、労働者が請求する時季に与えることとされていますが、職場への
配慮やためらい等の理由から取得率が低調な現状にあり、年次有給休暇の取得促進が課題となっ
ています。
●このため、労働基準法が改正され、2019(平成31)年4月から、全ての企業において、年10日
以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、年次有給休暇の日数のうち年5日については、
使用者が時季を指定して取得させることが必要となりました。
☆時期指定義務のポイント☆
●対象者は、年次有給休暇が 10 日以上付与される労働者(管理監督者を含む)に限ります。
●労働者ごとに、年次有給休暇を 付与した日(基準日)から1年以内に5日について、使用者が取得時季を指定して与える必要があります。
●年次有給休暇を5日以上取得済みの労働者に対しては、使用者による時季指定は不要です。
(※)労働者が自ら申し出て取得した日数や、労使協定で取得時季を定めて与えた日数(計画的
付与)については、5日から控除することができます。
(例)・労働者が自ら5日取得した場合 ⇒使用者の時季指定は不要
・労働者が自ら3日取得+計画的付与2日の場合 ⇒ 〃
・労働者が自ら3日取得した場合 ⇒使用者は2日を時季指定
・計画的付与で2日取得した場合 ⇒ 〃 3日 〃
!ご注意ください!
●使用者は、時季指定に当たっては、労働者の意見を聴取し、その意見を尊重するよう努めなけれ
ばなりません。
●使用者は、労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作成し、3年間保存しなければなりません。
<年次有給休暇の計画的付与、時間単位年休>
(1)年次有給休暇の計画的付与
年次有給休暇の付与日数のうち、5日を超える部分については、労使協定を結べば、計画的
に休暇取得日を割り振ることができます。
(2)時間単位年休
年次有給休暇は、1日単位で与えることが原則ですが、労使協定を結べば、1時間単位で与
えることができます(上限は1年で5日分まで)。ただし、時間単位の年次有給休暇は取得義務
の5日から控除することはできません。
<年次有給休暇に関するQ&A>
Q1.年次有給休暇の時効は何年ですか。
A1.年次有給休暇は、発生の日から2年間で時効により消滅します(労働基準法第115条)。
Q2.年次有給休暇に対して支払うべき賃金は決まっていますか。
A2.年次有給休暇に対しては、原則として、①労働基準法で定める平均賃金、②所定労働時間労
働した場合に支払われる通常の賃金、③健康保険法に定める標準報酬月額の30分の1に相当
する金額のいずれかを支払う必要があり、いずれを選択するかについては、就業規則などに
明確に規定しておく必要があります。なお、③による場合は、労使協定を締結する必要があ
ります。
Q3.年5日の取得ができなかった労働者が1名でもいたら、罰則が科されるのでしょうか。
A3.法違反として取り扱うこととなりますが、労働基準監督署の監督指導において、法違反が認
められた場合は、原則としてその是正に向けて丁寧に指導され、改善を図って頂くことにな
ります。
Q4.使用者が年次有給休暇の時季指定をするだけでは足りず、実際に取得させることまで必要なのでしょうか。
A4.使用者が5日分の年次有給休暇の時季指定をしただけでは足りず、実際に基準日から1年以内に年次有給休暇を5日取得していなければ、法違反として取り扱うことになります。
Q5.法定休日ではない所定休日を労働日に変更し、当該労働日について、使用者が年次有給休暇として時季指定することはできますか。
A5.このような手法は、実質的に年次有給休暇の取得の促進につながっておらず、望ましくない
ものです。
○当事務所からのお知らせ
・事務組合の事業主様には、4月に「労働保険料等算定基礎賃金等の報告」を含む、令和3年度労働
保険料年度更新の案内をお送りしております。提出期限が過ぎておりますので、未提出の事業主様
は至急ご提出お願い致します。
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後記