事務所ニュースVol.231 30.02職業安定法の改正について
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2018年2月1日
事務所ニュース Vol.231
職業安定法改正について
平成29年3月31日に成立、公布された職業安定法の一部の改正を含む「雇用保険法等の一部を改正する法律」の一部が平成30年1月1日より施行されました。主な改正のポイントについては、次の通りです。
労働条件の明示が必要な時点(タイミング)
ハローワーク等へ求人申込みをする際や、ホームページ等で労働者の募集を行う場合は、労働契約締結までの間、下記のように労働条件を明示するようにすることが必要です。
時点 | 必要な明示 |
求人申込み、 自社HPでの募集、 求人広告の掲載 等を行う際 | ハローワーク等への求人票や募集要項等において、労働条件を明示することが必要です。 ○ 求人票のスペースが足りない等、やむを得ない場合には、「詳細は面談の時にお伝えします」などと書いた上で、労働条件の一部を別途明示することも可能です。 ○ この場合原則として、初回の面接等、求人者と求職者が最初に接触する時点までに、全ての労働条件を明示すべきとされています。 |
労働条件に変更があった場合、その確定後可能な限り速やかに | 当初明示した労働条件が変更される場合は、変更内容について明示しなければなりませ ん。(職業安定法改正により新設されました) ○ 面接等の過程で労働条件に変更があった場合、速やかに求職者に知らせるよう配慮が 必要です。 |
労働契約締結時 | 労働基準法に基づき、労働条件通知書等により労働条件を通知することが必要です。 |
※労働契約書・労働条件通知書の作成方法については、当事務所までお気軽にお問い合わせください。
労働条件明示に当たって遵守すべき事項
労働条件を明示するに当たっては、職業安定法に基づく指針等を遵守することが必要です。
○ 明示する労働条件は、虚偽又は誇大な内容としてはなりません。
○ 有期労働契約が試用期間としての性質を持つ場合、試用期間となる有期労働契約期間中の労働条件を明
示しなければなりません。また、試用期間と本採用が一つの労働契約であっても、試用期間中の労働条
件が本採用後の労働条件と異なる場合は、試用期間中と本採用後のそれぞれの労働条件を明示しなけれ
ばなりません。
○ 労働条件の水準、範囲等を可能な限り限定するよう配慮が必要です。
○ 労働条件は、職場環境を含め可能な限り具体的かつ詳細に明示するよう配慮が必要です。
○ 明示する労働条件が変更される可能性がある場合はその旨を明示し、実際に変更された場合は速やかに
知らせるよう、配慮が必要です。
最低限明示しなければならない労働条件等
労働者募集、求人申し込みの際に、少なくとも以下の事項を書面の交付によって明示しなければなり
ません。求職者が希望した場合、電子メールによることも可能です(印刷が可能なファイルに限る)。
必要な 項目 | ①業務内容 ②契約期間 ③試用期間 ④就業場所 ⑤就業時間 ⑥休憩時間 ⑦休日 ⑧ 時間外労働 ⑨賃金 ⑩加入保険 ⑪募集者の氏名又は名称 ⑫派遣労働者として雇用する場合はその旨 下線部:改正による追加等された事項 |
改正部分記載例 | ③試用期間: 例)「試用期間あり(3ケ月)」 |
⑧時間外労働:裁量労働制を採用している場合は、次のような記載が必要 | |
⑨賃金:時間外労働の有無にかかわらず一定の手当を支給する制度(いわゆる「固定残業代」)を採用 する場合は、以下のような記載が必要 |
変更明示の方法等について
求人票等で明示した労働条件と実際の労働条件を変更する場合には、雇用契約締結前に、変更前と変
更後の内容が分かる形で変更内容を書面で明示することが必要です。
① | 「当初の明示」と異なる内容の労働条件を提示する場合 例)当初:基本給30万円/月⇒ 基本給28万円/月 |
② | 「当初の明示」の範囲内で特定された労働条件を提示する場合 例)当初:基本給25万円~30万円/月⇒ 基本給28万円/月 |
③ | 「当初の明示」で明示していた労働条件を削除する場合 例)当初:基本給25万円/月、営業手当3万円/月⇒ 基本給25万円/月 |
④ | 「当初の明示」で明示していなかった労働条件を新たに提示する場合 例)当初:基本給25万円/月⇒ 基本給25万円/月、営業手当3万円/月 |
厚生労働省発表の「平成28年度のハローワークにおける求人票の記載内容と実際の労働条件の相違に係る申出の件数」によるとハローワークへの申出・苦情等件数9,299件の内「求人票の内容が実際と異なる」旨の相談は3,608件と約4割を占めています。従業員が「入社してみたら当初の話と違う」との不満を持てば、トラブルになるだけでなく訴訟に発展するリスクがあります。求人の際にご不明な点があれば、当事務所までご連絡ください。
○当事務所からのお知らせ
・労働保険料第3期分の納付について
労働保険料第3期分納付がお済みでない事業所様は、至急ご入金をお願い致します。
・有期雇用労働者の無期雇用転換ルールにつきまして、適切な雇用管理に関する計画を作成し、労働
局長の認定を受けた事業主の下で、定年に達した後引き続いて雇用される期間は、無期転換申込権
が発生しないという制度があります。ご興味のある方はお早めに当事務所までご連絡ください。
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後記