事務所ニュースVol.234 30.05 36協定について
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2018年5月1日
事務所ニュース Vol.234
時間外労働・休日労働に関する協定(36協定)について
働き方改革の議論が進む中、「 36 協定」というフレーズがテレビ、新聞等でよく出てくるようになりました。“労働者を残業させるときに必要なもの”というところまではわかっているけれども、具体的にどのような制度なのかご存じない方も多くいます。現行の法律の枠組みで運用されている時間外労働・休日労働に関する協定(以下36協定)について確認してみます。
●36協定とは
労働時間は、労働基準法(以下労基法)第32条で1日8時間・1週間40時間、と決まっています。また、一定の条件を満たした場合には1ヶ月を平均して1週40時間にする制度(1ヶ月単位の変形労働時間制)や1年の労働時間を平均して1週40時間にする制度(1年単位の変形労働時間制)があり、これを超える労働を法定時間外労働と言い、いわゆる残業です。また、労基法第35条では使用者は毎週少なくとも1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければならないとしています。原則として、法律で決まっている労働時間を超えた時間及び休日に働かせることは禁止されており、違反した者は6カ月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処されます。そこで労基法36条により、36協定を締結し、労働基準監督署長に届け出ることで、法律で決まっている労働時間を超えた時間及び休日に働かせることが認められるようになります。
●協定の締結単位
36協定は事業場単位で締結し、届け出る必要があります。1つの会社で別々の場所に工場、支店がある場合は、工場、支店がそれぞれ1つの事業場になるので、それぞれの事業場で36協定を締結し、それぞれの所在地を管轄する労働基準監督署長に届け出る必要があります。
●36協定の締結当事者について
①労働者側の締結当事者
36協定を締結する際に事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合と協定します。労働組合が無い場合は労働者の過半数を代表する者を選出し、その代表者と協定を結びます。労働者の過半数の判断については、正社員のみではなくパートタイマー、アルバイトはもちろん、管理監督者、病気、出張、休職等によって協定締結当日に出勤していない者又は協定期間中出勤が全く予想されない者も含めます。
②過半数代表者になることのできる労働者の要件
(1)労基法第41条第2号に規定する管理監督者ではないこと(ここでいう管理監督者とは労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある人を指します)。
(2)36協定を締結するための過半数代表者を選出することを明らかにした上で投票、挙手、労働者による話し合い等の民主的な手続きによって選出されること。
※使用者が指名した場合や社員親睦会の幹事などを自動的に指名した場合は、36協定を締結するために選出された人ではないと判断され、36協定は無効となります。
●36協定の延長時間の限度
36協定を締結したからと言って、無制限に残業させられるわけではありません。残業時間には「時間外労働の限度に関する基準」が定められており、この基準により1か月45時間、1年360時間などの限度が示されています。
・一般の労働者の延長時間の限度
・対象期間が3カ月を超える
1年単位の変形労働時間制の対象者の延長時間の限度
期間 | 限度時間 | 期間 | 限度時間 | |
1週間 | 15時間 | 1週間 | 14時間 | |
2週間 | 27時間 | 2週間 | 25時間 | |
4週間 | 43時間 | 4週間 | 40時間 | |
1箇月 | 45時間 | 1箇月 | 42時間 | |
2箇月 | 81時間 | 2箇月 | 75時間 | |
3箇月 | 120時間 | 3箇月 | 110時間 | |
1年間 | 360時間 | 1年間 | 320時間 |
●適用除外
次の事業又は業務には、延長時間の限度が適用されません。
①工作物の建設等の事業②自動車の運転の業務③新技術、新商品等の研究開発の業務④その他厚生労働省労働基準局長が指定するもの(造船事業における船舶の改造又は修繕に関する業務、郵政事業の年末・年始における業務等)※④は1年間の限度時間は適用されます。
●特別条項付き協定
臨時的に限度時間を超えて時間外労働を行わせなければならない特別の事情が予想される場合には、特別条項付き協定を締結することにより限度時間を超える時間を延長することができます。特別な事情とは一時的または突発的に時間外労働を行わせる必要があるものであり、全体として年の半分を超えないことが見込まれるものを指します。
■労働基準監督署に届け出た36協定は、労働者に周知しなければなりません。具体的な周知方法としては①各作業場の見やすい場所に掲示、備え付ける②書面を労働者に交付する③デジタル媒体に記録し、労働者が内容を常時確認できる機器を各作業場に設置する、があります。
■現在、長時間労働の解消に向けた法整備が国会で進められており、多少のスケジュールの遅れはあるかもしれませんが、労働時間の上限規制等の導入は間近に迫っており、36協定の制度も変更が加わる可能性があります。36協定についてお知りになりたいことがありましたら、当事務所までご連絡ください。
○当事務所からのお知らせ
・事務組合の事業主様には、4月に「労働保険料等算定基礎賃金等の報告」を含む、平成30年度
労働保険料年度更新の案内をお送りしております。提出期限(4月20日)が過ぎておりますので、
未提出の事業主様は至急ご提出お願い致します。
・5月の連休(ゴールデンウィーク)はカレンダー通り営業いたします。
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後記