事務所ニュースVol.253 01.12パワーハラスメント対策が事業主の義務
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2019年12月1日
事務所ニュース Vol.253
パワーハラスメント対策が事業主の義務
~セクシュアルハラスメント等の防止対策も強化~
職場におけるパワーハラスメント防止のために、雇用管理上必要な措置を講じることが事業主の義務となりました。(適切な措置を講じていない場合には是正指導の対象となります。)又、パワーハラスメントに関する紛争が生じた場合、調停など個別紛争解決援助の申出を行うことができるようになりました。セクハラ等の防止に関しても、国・事業主・労働者の責務が明確化(*)され、又、事業主にセクハラ等に関して相談した労働者に対して事業主が不利益な取扱いを行うことが禁止されました。(*)セクハラ等は行ってはならないものであり、 事業主・労働者の責務として、他の労働者に対する言動に注意を払うよう努めるものとされています。
6月号の事務所ニュースでもパワーハラスメントについて取り上げましたが、職場のパワーハラスメント対策を導入するに当たり、パワーハラスメントとは何かを理解する必要があるため、今一度確認させて頂きます。
〇パワーハラスメントとは?
・職場におけるパワーハラスメント とは、改正労働施策総合推進法(令和元年6月5日公布)により、①優越的な関係を背景とした言動であって②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより③労働者の就業環境が害されること、この3つの要素すべてを満たすものとし、パワーハラスメント防止のため、相談体制の整備等の雇用管理上必要な措置を講じることを事業主に義務付け、公布後1年以内の政令で定める日(中小企業は、公布後3年以内の政令で定める日までの間は努力義務)に施行されます。パワーハラスメントに対する基本的は考え方や具体例、事業主が講ずべき雇用管理上の措置の具体的な内容等については、今後、厚生労働省で指針を策定する予定です。
〇パワーハラスメントの行為類型
・典型的なパワーハラスメント行為として、①身体的な攻撃②精神的な攻撃③人間関係からの切り離し④過大な要求⑤過小な要求⑥個の侵害、この6つの行為類型があります。ただし、これらは職場のパワーハラスメントすべてを網羅するものではなく、これ以外は問題ないということではないことに留意が必要です。
・具体的なパワーハラスメント事案が発生した場合に、それがパワーハラスメントであるかどうかを判断するには、行為が行われた状況や行為が継続的であるかどうか等詳細な事実関係を把握し、各職場での共通認識や厚生労働省の「あかるい職場応援団」サイトに掲載されている裁判例も参考にしながら判断します。(*具体例は6月号の事務所ニュースの表をご覧下さい。)
〇予防対策のポイント
・職場のパワーハラスメントは、いったん事案が発生してしまうと、その解決に時間と労力を要するため、まずは問題が発生しないように、予防対策を講じることが重要です。
〇基本的なパワーハラスメント対策として取り組むべき7つの項目
・予防するために
①トップのメッセージ ⇒ 組織のトップが、職場のパワーハラスメントは職場からなくすべきで
あることを明確に示す
②ルールを決める ⇒ 就業規則に関係規定を設ける、労使協定を締結する
⇒ 予防・解決についての方針やガイドラインを作成する
③実態を把握する ⇒ 従業員アンケートを実施する
④教育する ⇒ 研修を実施する
⑤周知する ⇒ 組織の方針や取組について周知・啓発を実施する
・解決するために
⑥相談や解決の場を設置する ⇒ 企業内・外に相談窓口を設置する、職場の対応責任者を決める
⇒ 外部専門家と連携する
⑦再発防止のための取組 ⇒ 行為者に対する再発防止研修等を行う
*職場では、さまざまなハラスメントが発生するおそれがあり、パワーハラスメントだけでなく、セクシュアルハラスメントや、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント、性的指向・性自認に関するハラスメント等で職場環境を害されるようなこともあってはなりません。また、例えば、セクシャルハラスメントとパワーハラスメントが同時に発生することや、一見パワーハラスメントと考えられる事案にセクシャルハラスメントとしての要素が含まれていることもあります。
このようなことを踏まえて、あらゆるハラスメントのない働きやすい職場づくりに向けて、企業として総合的にハラスメント対策を講じるように心がけましょう。
○当事務所からのお知らせ
・第3期分労働保険料の納入について
口座振替の事業所様は、令和2年1月14日(火)にご指定の口座よりお振替えさせていただきます。詳細につきましては後日発送致します「労働保険料等口座振替のお知らせ」にてご確認をお願いします。
振込の事業所様は、令和2年1月31日(金)をお振込期限とさせていただいております。詳細につきましては今月末に「労働保険料等納入のお知らせ」を発送致しますので、ご確認をお願いします。
・年末年始の休業日について
12月28日(土)~1月5日(日)まで年末年始の休暇とさせていただきます。
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後記