事務所ニュースVol.256 02.03伝染病流行時の労務管理
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2020年3月1日
事務所ニュース Vol.256
感染症 に関連した労務管理について
中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスは日本をはじめ世界各国に拡大しており、いまだピークが見えない様相を呈しています。2月1日には政令により指定感染症に指定され、政府の対策も国内侵入防止から、感染拡大防止・重症化防止へとフェーズが移行しています。今後もし国内で大流行ということになれば会社の休業、労働者の自宅待機等、企業の労務管理にも影響を与えることが考えられます。そうなったときにどのように対応すべきか、また企業単位で行える感染拡大防止策をご説明します。
①新型コロナウイルスに関連して労働者を休業させる場合
賃金の支払いの必要性の有無などについては、個別事案ごとに諸事情を総合的に勘案するべきですが、労働基準法第26条では、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合には、使用者は、休業期間中の休業手当(平均賃金の100分の60以上)を支払わなければならないとされています。
※不可抗力による休業の場合は、使用者の責に帰すべき事由に当たらず、使用者に休業手当の支払義務はありません。ここでいう不可抗力とは、「その原因が事業の外部より発生した事故であること」「事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故であること」の2つの要件を満たすものでなければならないと解されています。例えば、自宅勤務などの方法により労働者を業務に従事させることが可能な場合において、これを十分検討するなど休業の回避について通常使用者として行うべき最善の努力を尽くしていないと認められた場合には、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当する場合があり、休業手当の支払が必要となることがあります。
②労働者が新型コロナウイルスに感染したため休業させる場合、休業手当は必要か
新型コロナウイルスに感染しており、都道府県知事が行う就業制限により労働者が休業する場合は一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないと考えられますので、休業手当を支払う必要はありません。なお、被用者健康保険に加入されている方であれば、要件を満たせば、各保険者から傷病手当金が支給されます。具体的には、療養のために労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から、直近12カ月の平均の標準報酬日額の3分の2について、傷病手当金により補償されます。
③新型コロナウイルス感染症によって、事業の休止などを余儀なくされ、やむを得ず休業とする場合
休業手当の支払いについて、①で述べた不可抗力による休業の場合は、使用者に休業手当の支払義務はありません。具体的には、例えば、海外の取引先が新型コロナウイルス感染症を受け事業を休止したことに伴う事業の休止である場合には、当該取引先への依存の程度、他の代替手段の可能性、事業休止からの期間、使用者としての休業回避のための具体的努力等を総合的に勘案し、判断する必要があると考えられます。
④新型コロナウイルスへの感染を防ぐため、時差通勤の導入をお考えの場合
労働者及び使用者は、その合意により、始業、終業の時刻を変更することができます。また、始業終業の時刻を労働者の決定に委ねる制度として、フレックスタイム制があります。この制度は、1日の労働時間帯を、必ず勤務すべき時間帯(コアタイム)と、その時間帯の中であればいつ出社または退社してもよい時間帯(フレキシブルタイム)とに分けるものです。なお、コアタイムは必ず設けなければならないものではありませんので、全部をフレキシブルタイムとすることもできます。フレックスタイム制の詳細や導入の手続きに際しては、当事務所までご相談ください。
令和 2 年 4 月 1 日からすべての雇用保険被保険者について雇用保険料の納付が必要となります。
65歳以上の労働者も雇用保険の対象となっており、経過措置として平成29年1月1日から令和2年3月31日までの間は、高年齢労働者(保険年度の初日(4月1日)において満64歳以上である労働者であって、雇用保険の一般被保険者となっている方)に関する雇用保険料は免除されていましたが令和2年4月1日からは高年齢労働者についても、他の雇用保険被保険者と同様に雇用保険料の納付が必要となり、給与から雇用保険料を控除することが必要になります。控除開始のタイミングは、給与締め日が4月1日以降の給与からとなります。例えば、給与締め日が月末日、給与支払日が翌月10日という企業様の場合、3月末締め、4月10日支払給与からではなく、4月末締め、5月10日支払給与から雇用保険料の控除を開始するということになります。
○当事務所からのお知らせ
・全国健康保険協会管掌健康保険の健康保険料率及び介護保険料率が3月分( 4月納付分)から変更されます。
大阪支部・兵庫支部の保険料率は以下のとおりです。介護保険料率は全国一律1.79%になります。
<大阪支部>健康保険料率 10.22% 介護保険込み健康保険料率 12.01%
<兵庫支部>健康保険料率 10.14% 介護保険込み健康保険料率 11.93%
なお、健康保険組合に加入されている方の健康保険料率および介護保険料率は、加入されている健康保険組合によって異なりますので、別途ご確認いただくようお願いいたします。
保険料一覧表をご希望の事業所様は別途作成いたしますので、ご連絡ください 。
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後記